こんなに考察されると逆に涙が出る。
2007年3月14日 マジック・ザ・ギャザリング記事を書くなら真剣に書け馬鹿者。友人に言われて、白緑ビートダウン=【ジャンク】についてちゃんと考察してみます。
1:【ジャンク】とは?
http://mtgwiki.com/%a5%b8%a5%e3%a5%f3%a5%af
マルチカラーのグッドスタッフ系ウィニーとでも称するのが妥当だろう。
低マナ域のカードパワーが異常に高く、上手く回れば速攻で押し切ることの出来る力を秘めている。
逆に長引くと息切れを起こしやすく、コントロール相手に序盤を上手く凌がれてしまうと勝機は薄くなるという欠点も持ち合わせる。
2:ジャンクが環境に存在する価値。
これは自分より深く掘り下げて考察されている方の記事を読んで頂けたほうが理解しやすい。
http://diarynote.jp/d/60094/20070106.html
Diarynoteよりカバ雄氏の記事へリンクさせていただきました。
自分がこのデッキを選択した理由は単純である。
まだ自分がトリーヴァビートというあんまりなデッキを使っていた頃、秋葉原のショップにてボロスに焼殺され、イゼットロンにはバウンスされ、青白コンからはラスゴで粉砕されるのだ。悔しくて環境のトップメタのデッキにどうしても勝ちたくなったのだ。
『じゃあ俺はボロスに勝ってやる』と思って構築したセレズニア対立も、確かにボロスへの勝率だけはすこぶる良かった。
《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》のライフゲインも、タフネス4という申し分無いサイズも、ボロスには悉く突き刺さった。
しかしながら、イゼットロンの前に成す術もなく惨敗を喫し続けた。
序盤のマナ生物を《電解/Electrolyze》され、変異で裏向きに出した《セロン教の隠遁者/Thelonite Hermit》、《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》は《差し戻し/Remand》や《撤廃/Repeal》の嵐。あっという間に《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》が降臨なさって、数ターンの後にはライフが0となっている自分がいた。
《神の怒り/Wrath of God》を擁するデッキには、慢性的にアドバンテージ不足の問題を抱え続けることになる。
これは一体どうしたものか。
環境のトップメタに勝とうとすること自体が無謀だったのか。しかしそれで終わらせるのは悔しい。
高校からM:tG自分には知識も経験も無いので、とりあえずイゼットロンとボロスのあらゆるサンプルデッキをネット上から漁り続けた。
その中でボロス、イゼットロン、青白コン共にいくつかの共通した弱点を発見することが出来た。(ちなみにここまで行き着くのに2週間以上掛かった俺の愚鈍さに乾杯)
・ボロス、イゼットロンともに2〜3点火力に除去を頼っている。
これは特にイゼットロンに対して言えることだが、《電解/Electrolyze》や《紅蓮地獄/Pyroclasm》と言った2点火力に除去を依存している以上、タフネス3以上の生物除去には手をこまねいているのだ。
またボロスもタフネス3というサイズに悩まされる。《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》や《聖なる後光の騎士/Knight of the holy nimbus》等の主力生物は皆、タフネス3の壁を越えることが難しい。
確かに《稲妻のらせん/Lightning Helix》や《火山の鎚/Volcanic Hummer》である程度のケアは出来るのだが、それもジャイグロ系のカードで回避すれば、かなりのボード的優位に立てることは間違いない。
ここまでの思考から、自分がビートダウンを使うことは既に決定していた。中途半端なコントロールではボロスの速度に耐えられないと判断したのだ。
また一概にタフネス3のラインを作ったとしても、重すぎると《差し戻し/Remand》や、マナを残せないことからジャイグロを構えられず《稲妻のらせん/Lightning Helix》の存在が脅威となってしまう。
最悪でも生物のマナコストは2〜3が限界だった。
早速、マナコストが2〜3でタフネスが3以上の生物の検索をかけて行った。
早速引っかかったのが《エルフの戦士/Elvish Warrior》《番狼/Watchwalf》《瘡蓋族のやっかい者/Scab-Clan Mauler》《セラの報復者/Serra Avenger》だった。
とりあえず、サイズの差から《エルフの戦士/Elvish Warrior》の採用は拒まれた。また4ターン目までにキャスト出来ない《セラの報復者/Serra Avenger》も主戦力として据えることは出来なかった。
よって自分に残された道は
《番狼/Watchwalf》
《瘡蓋族のやっかい者/Scab-Clan Mauler》
の2つである。
さて、ボロスやイゼットロンを研究するために秋葉原まで遠征し色々なデッキを見てきた。
その中で、《瘡蓋族のやっかい者/Scab-Clan Mauler》は何度か目にしていた。
いわゆるグルール・ビートである。グルール・ビートに追い風なのは《密林の猿人/Kird Ape》という1マナで2/3を誇る生物の存在である。
確かにこの生物たちなら、タフネス3のボーダーラインをクリアしていた。
しかし既存のデッキタイプで、ボロスやイゼットロンへの回答になっているならば、既に有力メタの一角としてもっと台頭しているはずである。
では、何故グルール・ビートではダメなのか。
答えは簡単、《密林の猿人/Kird Ape》も《瘡蓋族のやっかい者/Scab-Clan Mauler》もサイズをパンプするのに条件が必要なのだ。
確かに、この生物たちなら回れば強力だろう。しかし、安定性を欠いたデッキで、ボロスやイゼットロン等の比較的安定したデッキに挑むのは半ば無謀だと思う。
となると、最後に残されたのは《番狼/Watchwalf》だけだった。こいつをトーナメントシーンで見かけたのはZooの主力生物として搭載されていた時だろうか。
それでも、Zooはボロスに勝てない。いや、確かに『回れば』対等以上に渡り合えるのだが、その『安定性』を犠牲にするわけにはいかないのだ。Zooが安定しない理由はもちろん、3色のビートダウンであること。それによるショックランドのダメージで、ボロスにはあっという間にライフを削りきられてしまう。
つまり、デッキは2色で抑えなければならないということも判明した。気づくのが遅いとか言ってはいけない。泣いちゃうから。
手元に残ったのは、本当に《番狼/Watchwalf》ただ一枚だった。
つまり選択する色は白緑。ボード以外で相手に干渉することの出来ない色である。つまり、ボード上でいかにしてテンポ良くクロックを展開し、サポートしてくのかが最重要課題である。
次に俺はジャイグロ系スペルを探していくことにした。
とは言ったものの《古きクローサの力/Might of old Krosa》《巨大化/Giant Grows》と言った、いわばお決まりのカードしか見つからず、仕舞いにはラヴニカの《力の種/Seeds of Strength》でも採用してやろうかという所まで来てしまった。
一枚で複数のカードを守れるのは確かに素晴らしい。それでも最大パンプ値が《巨大化/Giant Grows》と変わらないのが甚だ不満だった。
そうやって何度も何度も模索していくうちに、ようやく新しい答えにたどり着くことになる。
そう、《狩りの興奮/Thrill of the Hunt》である。
除去を避けるためにサポートスペルを使うのだ。それならばタフネスが1でも残ればいい。つまり《巨大化/Giant Grows》のような+3/+3では無駄が多いのだ。
そう言った意味で、《狩りの興奮/Thrill of the Hunt》は除去を避けるのに最適なスペルと言えよう。一枚で二回分の働き、かつ墓地に落ちたあとは火力への牽制となるのだ。FBコストで必然的に白緑になるのも好都合だった。
そうやって、《番狼/Watchwalf》と《狩りの興奮/Thrill of the Hunt》を主軸としたデッキを構築することになった。
また白緑という色の都合上、火力は搭載していない。よって生物:サポートを3:1程度に割り振ることで、とりあえず生物さえいれば殴っていけるデッキにしようという結論に至った。
そうすれば必然的にマリガン率は減り、牽いてはデッキの安定性に繋がるのだ。
そして、まずは白から生物をピックしていく。
《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》は問答無用の採用。
またボロスの《サルタリーの僧侶/Soltari Priest》を単体で潰せる《アイケイシアの投槍兵/Icatian Javelineers》を採用。
初期の段階は1マナ生物はこれらの8体となる。後に12体となり、現在の11体へと落ち着いた。
《スカルガンの穴潜み/Skarrgan Pit-Skulk》に辿りつくのは、カバ雄氏の記事を読んでからのことになる。
次に2、3マナ域のピック。ここで忘れてはならないのが《神の怒り/Wrath of God》への耐性だった。
時のらせんから参入した白緑のカードで、非常に有用な生物がいたことは幸いだった。
Saffi Eriksdotter / サッフィー・エリクスドッター (緑)(白)
伝説のクリーチャー ― 人間(Human)・スカウト(Scout)
サッフィー・エリクスドッターを生け贄に捧げる:クリーチャー1体を対象とする。このターン、それが場からあなたの墓地に置かれたとき、そのカードを場に戻す。
2/2
(Wisdom Guild様から引用)
まずなんと言っても、この除去耐性を付与する能力が目玉である。《神の怒り/Wrath of God》の後に生物が1体残るのと残らないのでは大きすぎる違いがある。
さらにこの《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》の利点は『腐っても熊』であるという点だ。
2マナ2/2の標準サイズを持ち、そのかつ全体除去への耐性をつけてくれるこのカードも、文句無く採用することになる。
全体除去だけでなく、ビートダウン時もかなり優秀な抑止力として働いてくれることもこのカードの評価をより一層高めた。
そして次に全体除去の後の生物に困らない《獣群の呼び声/Call of the Herd》も採用。
しかしながら、こいつは《差し戻し/Remand》や《撤廃/Repeal》に対して耐性がないことだけ不満が残る。
それでもこのカードは十分すぎるほどのパワーカードであり、多少の不安定性を考慮しても、十分な力を持っていた。
さらにビートダウンへの耐性、《神の怒り/Wrath of God》の返しのターンにキャストできる《セラの報復者/Serra Avenger》も、ようやく日の目を見ることになる。
そうやって生物の案はまとまった。
次はサポートスペルである。
ここはある程度の予備知識として持ち合わせていたため、《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》をCipから止められる《時間の孤立/Temporal Isolation》を採用する。
ヘルカイトだけでなく、太陽拳の《怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath》を止められる、応用、小回りともに効いた優秀カードである。
そして少し気になっていた《糾弾/Condemn》や《信仰の足枷/Faith Fetter》対策として、《岩石樹の祈り/Stonewood Invocation》や救出生物《石覆い/Stonecloaker》が上げられた。
《岩石樹の祈り/Stonewood Invocation》は類を見ないほど安定したパンプアップ呪文である。
さらに《石覆い/Stonecloaker》は太陽拳の《戦慄の復活/Dread Return》対策、同時に《神秘の指導/Mystical Teaching》等への抑止力となった。
仕上げにビートダウン、全体除去耐性をさらに向上させるため《グリフィンの導き/Griffin Guide》を採用。3ターン目に《番狼/Watchwolf》に装着させると、止められるデッキはそうそう無い。
《石覆い/Stonecloaker》とのアンシナジーや、イゼットロンのバウンスが気になるところだが、それを差し引いてもこのカードは優秀だった。
と言っても、《グリフィンの導き/Griffin Guide》を付けたら大抵バウンスだから救出する暇など基本的には無いのだが。
こうやって俺の脳内会議を通り抜けて完成したデッキがこれである。
白緑ジャンク
生物(28)
4 《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》
3 《アイケイシアの投槍兵/Icatian Javelineers》
4 《スカルガンの穴潜み/Skarrgan Pit-Skulk》
3 《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》
4 《番狼/Watchwolf》
3 《セラの報復者/Serra Avenger》
4 《獣群の呼び声/Call of the Herd》
3 《石覆い/Stonecloaker》
スペル(13)
3 《狩りの興奮/Thrill of the Hunt》
3 《時間の孤立/Temporal Isolation》
3 《グリフィンの導き/Griffin Guide》
3 《岩石樹の祈り/Stonewood Invocation》
土地(20)
4 《寺院の庭/Temple Garden》
4 《低木林地/Brushland》
2 《トロウケアの敷石/Fragstone of Trokair》
2 《ペンデルヘイヴン/Pendelheaven》
5 《平地/Plane》
3 《森/Forest》
ようやくPLC導入前は《石覆い/Stonecloaker》の変わりにアイケイシア、狩りの興奮、グリフィンの導きの追加を入れてたり。
ついに完成したこのデッキ。回してみるとボロスにはかなり優勢。イゼットロンも然り、太陽拳は6割ほどの優勢、とかなりメタの解答となりうるデッキになったような気がしないでもない。
しかも天敵《砂の殉教者/Martyr of Sands》は、《根絶/Extirpate》によって文字通り『根絶』された。仮に当たったとしても、《石覆い/Stonecloaker》によってある程度戦っていける。
あとドラゴンストームは手札ゲーになるのでサイドで対策。そこらへんはどうしようもないなぁ……。
以上、ジャンクの考察でした。読んでくれた人、長々と連ねられた駄文お目汚し失礼しました。
1:【ジャンク】とは?
http://mtgwiki.com/%a5%b8%a5%e3%a5%f3%a5%af
マルチカラーのグッドスタッフ系ウィニーとでも称するのが妥当だろう。
低マナ域のカードパワーが異常に高く、上手く回れば速攻で押し切ることの出来る力を秘めている。
逆に長引くと息切れを起こしやすく、コントロール相手に序盤を上手く凌がれてしまうと勝機は薄くなるという欠点も持ち合わせる。
2:ジャンクが環境に存在する価値。
これは自分より深く掘り下げて考察されている方の記事を読んで頂けたほうが理解しやすい。
http://diarynote.jp/d/60094/20070106.html
Diarynoteよりカバ雄氏の記事へリンクさせていただきました。
自分がこのデッキを選択した理由は単純である。
まだ自分がトリーヴァビートというあんまりなデッキを使っていた頃、秋葉原のショップにてボロスに焼殺され、イゼットロンにはバウンスされ、青白コンからはラスゴで粉砕されるのだ。悔しくて環境のトップメタのデッキにどうしても勝ちたくなったのだ。
『じゃあ俺はボロスに勝ってやる』と思って構築したセレズニア対立も、確かにボロスへの勝率だけはすこぶる良かった。
《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》のライフゲインも、タフネス4という申し分無いサイズも、ボロスには悉く突き刺さった。
しかしながら、イゼットロンの前に成す術もなく惨敗を喫し続けた。
序盤のマナ生物を《電解/Electrolyze》され、変異で裏向きに出した《セロン教の隠遁者/Thelonite Hermit》、《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》は《差し戻し/Remand》や《撤廃/Repeal》の嵐。あっという間に《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》が降臨なさって、数ターンの後にはライフが0となっている自分がいた。
《神の怒り/Wrath of God》を擁するデッキには、慢性的にアドバンテージ不足の問題を抱え続けることになる。
これは一体どうしたものか。
環境のトップメタに勝とうとすること自体が無謀だったのか。しかしそれで終わらせるのは悔しい。
高校からM:tG自分には知識も経験も無いので、とりあえずイゼットロンとボロスのあらゆるサンプルデッキをネット上から漁り続けた。
その中でボロス、イゼットロン、青白コン共にいくつかの共通した弱点を発見することが出来た。(ちなみにここまで行き着くのに2週間以上掛かった俺の愚鈍さに乾杯)
・ボロス、イゼットロンともに2〜3点火力に除去を頼っている。
これは特にイゼットロンに対して言えることだが、《電解/Electrolyze》や《紅蓮地獄/Pyroclasm》と言った2点火力に除去を依存している以上、タフネス3以上の生物除去には手をこまねいているのだ。
またボロスもタフネス3というサイズに悩まされる。《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》や《聖なる後光の騎士/Knight of the holy nimbus》等の主力生物は皆、タフネス3の壁を越えることが難しい。
確かに《稲妻のらせん/Lightning Helix》や《火山の鎚/Volcanic Hummer》である程度のケアは出来るのだが、それもジャイグロ系のカードで回避すれば、かなりのボード的優位に立てることは間違いない。
ここまでの思考から、自分がビートダウンを使うことは既に決定していた。中途半端なコントロールではボロスの速度に耐えられないと判断したのだ。
また一概にタフネス3のラインを作ったとしても、重すぎると《差し戻し/Remand》や、マナを残せないことからジャイグロを構えられず《稲妻のらせん/Lightning Helix》の存在が脅威となってしまう。
最悪でも生物のマナコストは2〜3が限界だった。
早速、マナコストが2〜3でタフネスが3以上の生物の検索をかけて行った。
早速引っかかったのが《エルフの戦士/Elvish Warrior》《番狼/Watchwalf》《瘡蓋族のやっかい者/Scab-Clan Mauler》《セラの報復者/Serra Avenger》だった。
とりあえず、サイズの差から《エルフの戦士/Elvish Warrior》の採用は拒まれた。また4ターン目までにキャスト出来ない《セラの報復者/Serra Avenger》も主戦力として据えることは出来なかった。
よって自分に残された道は
《番狼/Watchwalf》
《瘡蓋族のやっかい者/Scab-Clan Mauler》
の2つである。
さて、ボロスやイゼットロンを研究するために秋葉原まで遠征し色々なデッキを見てきた。
その中で、《瘡蓋族のやっかい者/Scab-Clan Mauler》は何度か目にしていた。
いわゆるグルール・ビートである。グルール・ビートに追い風なのは《密林の猿人/Kird Ape》という1マナで2/3を誇る生物の存在である。
確かにこの生物たちなら、タフネス3のボーダーラインをクリアしていた。
しかし既存のデッキタイプで、ボロスやイゼットロンへの回答になっているならば、既に有力メタの一角としてもっと台頭しているはずである。
では、何故グルール・ビートではダメなのか。
答えは簡単、《密林の猿人/Kird Ape》も《瘡蓋族のやっかい者/Scab-Clan Mauler》もサイズをパンプするのに条件が必要なのだ。
確かに、この生物たちなら回れば強力だろう。しかし、安定性を欠いたデッキで、ボロスやイゼットロン等の比較的安定したデッキに挑むのは半ば無謀だと思う。
となると、最後に残されたのは《番狼/Watchwalf》だけだった。こいつをトーナメントシーンで見かけたのはZooの主力生物として搭載されていた時だろうか。
それでも、Zooはボロスに勝てない。いや、確かに『回れば』対等以上に渡り合えるのだが、その『安定性』を犠牲にするわけにはいかないのだ。Zooが安定しない理由はもちろん、3色のビートダウンであること。それによるショックランドのダメージで、ボロスにはあっという間にライフを削りきられてしまう。
つまり、デッキは2色で抑えなければならないということも判明した。気づくのが遅いとか言ってはいけない。泣いちゃうから。
手元に残ったのは、本当に《番狼/Watchwalf》ただ一枚だった。
つまり選択する色は白緑。ボード以外で相手に干渉することの出来ない色である。つまり、ボード上でいかにしてテンポ良くクロックを展開し、サポートしてくのかが最重要課題である。
次に俺はジャイグロ系スペルを探していくことにした。
とは言ったものの《古きクローサの力/Might of old Krosa》《巨大化/Giant Grows》と言った、いわばお決まりのカードしか見つからず、仕舞いにはラヴニカの《力の種/Seeds of Strength》でも採用してやろうかという所まで来てしまった。
一枚で複数のカードを守れるのは確かに素晴らしい。それでも最大パンプ値が《巨大化/Giant Grows》と変わらないのが甚だ不満だった。
そうやって何度も何度も模索していくうちに、ようやく新しい答えにたどり着くことになる。
そう、《狩りの興奮/Thrill of the Hunt》である。
除去を避けるためにサポートスペルを使うのだ。それならばタフネスが1でも残ればいい。つまり《巨大化/Giant Grows》のような+3/+3では無駄が多いのだ。
そう言った意味で、《狩りの興奮/Thrill of the Hunt》は除去を避けるのに最適なスペルと言えよう。一枚で二回分の働き、かつ墓地に落ちたあとは火力への牽制となるのだ。FBコストで必然的に白緑になるのも好都合だった。
そうやって、《番狼/Watchwalf》と《狩りの興奮/Thrill of the Hunt》を主軸としたデッキを構築することになった。
また白緑という色の都合上、火力は搭載していない。よって生物:サポートを3:1程度に割り振ることで、とりあえず生物さえいれば殴っていけるデッキにしようという結論に至った。
そうすれば必然的にマリガン率は減り、牽いてはデッキの安定性に繋がるのだ。
そして、まずは白から生物をピックしていく。
《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》は問答無用の採用。
またボロスの《サルタリーの僧侶/Soltari Priest》を単体で潰せる《アイケイシアの投槍兵/Icatian Javelineers》を採用。
初期の段階は1マナ生物はこれらの8体となる。後に12体となり、現在の11体へと落ち着いた。
《スカルガンの穴潜み/Skarrgan Pit-Skulk》に辿りつくのは、カバ雄氏の記事を読んでからのことになる。
次に2、3マナ域のピック。ここで忘れてはならないのが《神の怒り/Wrath of God》への耐性だった。
時のらせんから参入した白緑のカードで、非常に有用な生物がいたことは幸いだった。
Saffi Eriksdotter / サッフィー・エリクスドッター (緑)(白)
伝説のクリーチャー ― 人間(Human)・スカウト(Scout)
サッフィー・エリクスドッターを生け贄に捧げる:クリーチャー1体を対象とする。このターン、それが場からあなたの墓地に置かれたとき、そのカードを場に戻す。
2/2
(Wisdom Guild様から引用)
まずなんと言っても、この除去耐性を付与する能力が目玉である。《神の怒り/Wrath of God》の後に生物が1体残るのと残らないのでは大きすぎる違いがある。
さらにこの《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》の利点は『腐っても熊』であるという点だ。
2マナ2/2の標準サイズを持ち、そのかつ全体除去への耐性をつけてくれるこのカードも、文句無く採用することになる。
全体除去だけでなく、ビートダウン時もかなり優秀な抑止力として働いてくれることもこのカードの評価をより一層高めた。
そして次に全体除去の後の生物に困らない《獣群の呼び声/Call of the Herd》も採用。
しかしながら、こいつは《差し戻し/Remand》や《撤廃/Repeal》に対して耐性がないことだけ不満が残る。
それでもこのカードは十分すぎるほどのパワーカードであり、多少の不安定性を考慮しても、十分な力を持っていた。
さらにビートダウンへの耐性、《神の怒り/Wrath of God》の返しのターンにキャストできる《セラの報復者/Serra Avenger》も、ようやく日の目を見ることになる。
そうやって生物の案はまとまった。
次はサポートスペルである。
ここはある程度の予備知識として持ち合わせていたため、《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》をCipから止められる《時間の孤立/Temporal Isolation》を採用する。
ヘルカイトだけでなく、太陽拳の《怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath》を止められる、応用、小回りともに効いた優秀カードである。
そして少し気になっていた《糾弾/Condemn》や《信仰の足枷/Faith Fetter》対策として、《岩石樹の祈り/Stonewood Invocation》や救出生物《石覆い/Stonecloaker》が上げられた。
《岩石樹の祈り/Stonewood Invocation》は類を見ないほど安定したパンプアップ呪文である。
さらに《石覆い/Stonecloaker》は太陽拳の《戦慄の復活/Dread Return》対策、同時に《神秘の指導/Mystical Teaching》等への抑止力となった。
仕上げにビートダウン、全体除去耐性をさらに向上させるため《グリフィンの導き/Griffin Guide》を採用。3ターン目に《番狼/Watchwolf》に装着させると、止められるデッキはそうそう無い。
《石覆い/Stonecloaker》とのアンシナジーや、イゼットロンのバウンスが気になるところだが、それを差し引いてもこのカードは優秀だった。
と言っても、《グリフィンの導き/Griffin Guide》を付けたら大抵バウンスだから救出する暇など基本的には無いのだが。
こうやって俺の脳内会議を通り抜けて完成したデッキがこれである。
白緑ジャンク
生物(28)
4 《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》
3 《アイケイシアの投槍兵/Icatian Javelineers》
4 《スカルガンの穴潜み/Skarrgan Pit-Skulk》
3 《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》
4 《番狼/Watchwolf》
3 《セラの報復者/Serra Avenger》
4 《獣群の呼び声/Call of the Herd》
3 《石覆い/Stonecloaker》
スペル(13)
3 《狩りの興奮/Thrill of the Hunt》
3 《時間の孤立/Temporal Isolation》
3 《グリフィンの導き/Griffin Guide》
3 《岩石樹の祈り/Stonewood Invocation》
土地(20)
4 《寺院の庭/Temple Garden》
4 《低木林地/Brushland》
2 《トロウケアの敷石/Fragstone of Trokair》
2 《ペンデルヘイヴン/Pendelheaven》
5 《平地/Plane》
3 《森/Forest》
ようやくPLC導入前は《石覆い/Stonecloaker》の変わりにアイケイシア、狩りの興奮、グリフィンの導きの追加を入れてたり。
ついに完成したこのデッキ。回してみるとボロスにはかなり優勢。イゼットロンも然り、太陽拳は6割ほどの優勢、とかなりメタの解答となりうるデッキになったような気がしないでもない。
しかも天敵《砂の殉教者/Martyr of Sands》は、《根絶/Extirpate》によって文字通り『根絶』された。仮に当たったとしても、《石覆い/Stonecloaker》によってある程度戦っていける。
あとドラゴンストームは手札ゲーになるのでサイドで対策。そこらへんはどうしようもないなぁ……。
以上、ジャンクの考察でした。読んでくれた人、長々と連ねられた駄文お目汚し失礼しました。
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